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【 JOURNAL #2 】纏うことで、身体の変化も愛せる服をつくりたい。nakesが考える、女性の身体の美しさ。

【 JOURNAL #2 】纏うことで、身体の変化も愛せる服をつくりたい。nakesが考える、女性の身体の美しさ。

ヌードデッサンが好きだった学生時代

nakesのデザイナー 古川は専門学生時代に、服づくりの基礎となる人体の骨組みを理解するためのヌードデッサンの授業を通して、女性の身体が持つ曲線に強く惹かれ、人の身体を構成するひとつひとつの要素に魅力を感じるようになりました。

デッサンの時間に訪れるヌードモデルは身長も体型も様々でした。ひとりとして同じ曲線を持つ人がいないことや、同じモデルでもポーズを変えるたびに筋肉や関節の目立つ場所が異なることが、彼女にとってデザインを行う上で、考えを巡らせる大きなポイントになりました。

人が身体を動かすことで美しさを増し、完成するデザインとなるように。nakesの服づくりは、まず女性のヌードを描くところからスタートし、洋服のイメージを描き足していく、という方法で行っています。

彼女が専門学校を卒業後にスポーツアパレルのデザインへ進んだのも、身体とより関連性の深いファッションデザインに関わりたい、という思いがあったからです。

:デザイナー 古川のデザインノート。ヌードの女性を描き、身体の動きに合わせてイメージを膨らませていく。


服づくりのインスピレーションの源は、ありのままの女性の身体を表現するアーティストたち。

そんな彼女に影響を与えたのは、女性のありのままの身体を表現する作品が印象的なアーティストたちでした。

モデルの体型を補正して描くことが画家の常識であった時代に、モデルの身体を見たままに描き、タブー視されていたアンダーヘアまでも正確に描写する裸婦像を発表したグスタフ・クリムト(’1862-’1918)。

印象的な構図と圧倒的な細密描写の技術により、女性の身体のたるみや皺の部分までも、彼が描くことで魅力的なものになる磯江毅=グスタボ・イソエ(’1594-’2007)。

そして、舞台上では時に一糸纏わない姿で惜しみなく鍛え抜かれた身体を披露。普段は一人の女性として親しみやすい人柄ながら、全身を使いエネルギーに満ち溢れたパフォーマンスを行う、舞踊団「noism(ノイズム)」の国際芸術監督・舞踊家の井関佐和子氏。(’1978-)

そういったリアルな女性の身体を芸術的な視点でとらえ、作品へと昇華させるアーティストたちの姿勢は、nakesのデザインやビジュアルを創り上げる上で、大きなインスピレーションの源となっています。


“女性の身体のリアル”を尊重したモデル選び。

nakesがこれまでに発表しているビジュアルのモデルは、洋服を撮ることよりも、身体を撮ることを重視して選ばれています。

モデルの日焼け跡や靴擦れの跡は、隠すことをせずにあえてそのままの状態で使用しています。出産直後のモデルを起用したシーズンでは、妊娠線をクローズアップして撮影したショットや、骨盤周り、ヒップの曲線に自然と目がいく構図を採用しました。

画像加工などが簡単に行える時代に、綺麗に整えることをせずビジュアルを発表する理由。

そこには“女性の身体のリアル”を尊重し、モデルの彼女たちも、私たちと同じ日常を生きる女性なのだということ、そしてnakesのアイテムは、その彼女たちの身体の美しさを、さらに引き立てるものでありたいという、古川のnakesに込める強い思いと決意があります。

:妊娠中の女性のヌードのみをビジュアルとして撮影したシーズン。

古川はブランドを発表して数年後に妊娠・出産を経験しました。大きな身体の変化を自分自身が経験していく中で、これまでは身体の変化に常にポジティブな気持ちで向き合うことが素晴らしいと思っていたけれども、実際には心が強くタフな状態でなければかなり難しいことだと感じたそうです。

自身の経験を経た心境の変化から「纏うことで、いつでも身体の変化を愛せるようになる服を作りたい」という想いが明確になり、nakesではこれまで以上に着用者の身体に寄り添ったものづくりを追求していこうと決めました。


ファッションを楽しむことで、自分の身体を慈しみ愛することができるように。

人はそれぞれの価値観の中で、美しさの指標をもっているのではないでしょうか。

身体の変化を受け入れ、いつでもありのままの状態の自分を愛することはとても素敵なことです。一方で、自分の理想とする体型を目指して、身体をストイックにつくり上げていくことの格好良さもあります。

どんな美しさを目指す方にも、ファッションを楽しむことで、自分の身体を慈しみ愛することができるように。nakesは、それぞれの身体に寄り添いながら、アイテムを通して一緒に歩んでいきたいと考えています。



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Words by Saya
Edited by Akiko